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その後お2人のエピソード「俊夫さん、千代さん」その3

高齢者婚活パーティー

前回までの俊夫さんと千代さんのお話。
一度目のデートはトラブルもありましたが大成功。

しかし二度目のデートは、俊夫さんが行ったことがないカラオケ店。
一体どうなるのでしょうか?

千代「ここのカラオケ店には、以前カラオケ教室のお友達と来たことがあるんです」

俊夫「では、受付などお任せしてもいいですか?」

カラオケ個室に入ったお二人。

千代「私は最初に石川さゆりを歌うんですよ。喉が開くといいますか」

俊夫(喉が開く・・・?一体なんのことだろうか)

実は俊夫さんがカラオケに行ったことがない理由は学生時代にありました。

学生時代の合唱の時間で、友人に

友人「俊夫、お前オンチだな!一人だけ調子っぱずれてるよ」
友人「一人だけメロディのテンポが早いよ。どうして一緒に歌わないの」
友人「俊夫くんは指揮者にしましょう。先生!俊夫くんが指揮者がいいでーす」

ということを言われてから、歌に自信がなくなって、歌うことを避けてきたのです。

石川さゆりを歌い上げる千代さん。
カラオケ教室に通っていただけあってお上手だったそうです。
歌い終わると

千代「では、俊夫さんの番ですね」
俊夫「えっ!?いや、私はいいですよ」

千代「何を言ってるんですか。ぜひ歌ってください。こういうのは順番ですから」

カラオケが順番なんて思ってもいなかった俊夫さんは、千代さんの歌を聞くだけだと思っていました。
まさか、自分が歌うことになるなんて。

俊夫「私は歌はからっきし駄目でして。千代さんの歌はお上手です。もっと聞かせてください」

千代「それなら、じゃあ次は坂本冬美を歌いますね。終わるまでに何を歌うか考えておいてくださいね」

俊夫さんが歌うことは、免れないようです。

俊夫(どうしよう。絶対歌わないといけないのか!どうしたらいいんだろう・・・。でも歌いたくないって頑なに断っては、二度目のデートで失敗してしまうかもしれない。こんなに歌が好きな千代さんに申し訳がない)

悩みに悩んだ俊夫さんは、坂本九の「上を向いて歩こう」を選びました。
しかし、入力ができなかったので

俊夫「千代さん、すいません。では上を向いて歩こうを入れてもらってもいいですか?リモコンの操作がよく分からなくて」

千代「坂本九ですか!私も大好きなんです」

そして、「上を向いて歩こう」のイントロ出だし部分で、歌の入り方が分からず、おかしな部分で歌い始めてしまった俊夫さん。

そしてそのまま、テンポはずれで音程も分からなくなり、混乱してしまったまま歌い続けました。

最初、手拍子をしてワクワクしていた千代さん。
歌が始まるとちょっと驚いた表情をして、そしてその後、黙って画面と俊夫さんを見つめていました。

千代さんはこのあとどうするのでしょうか?
そして俊夫さんは?
<続く>


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