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語る大将「哲二さん加代さん」24

高齢者婚活パーティーで出会って見事マッチングを果たした、
田中哲二さん(仮名・埼玉県)60代の男性の方と、三浦加代さん(仮名・千葉県)50代の女性の方。

大将「田中ちゃんのやっと分かる良さもあるんだけどな。」

2人のテーブルにやって来た大将が語ります。

大将「ちょうど、俺の料理みたいに。」

加代「料理?」

大将「人間も料理も、食って見なきゃ分からない。最初の印象やイメージでだけでは分からないところってすごく多いもんだよ。」

加代「・・・そうですね。」

加代さんはテーブルに並んだお料理を見回して、そう言いました。

大将「田中ちゃん不器用だから、なんだコイツって最初は思うかもしれないけど、深く知っていくうちに徐々にコイツの味がわかって来て、好きになってくると思うんだよ。」

哲二「ちょっと、大将、語るねえ。恥ずかしいよ。」

大将「そう言う意味では俺の料理と一緒だってこと。」

加代「なるほど・・・」

加代さんは目の前にある料理たちを見て思いました。

確かに、最初はどうせ美味しくないだろうって思ってた。

哲二さんのことも、気が利かない人だって思っていたし。

でも、今は違う。


料理はどれも美味しかったし、

哲二さんは不器用なりに、とても気を使ってくれる人だった。


哲二「今日は語りたい気分なのかい、大将。もういいからカウンター戻りなよ。」

照れているような、バツの悪いような顔をして、哲二さんはカウンターを指差しながら言いました。

大将「俺はね、心配してるんだよ田中ちゃん。いいヤツだなーって思ってるのに、いつも一人で来やがって、なかなか女を連れてこないもんだから。早く独り身、卒業してもらわんと。」

気づくと、熱く語る大将からは、ほんのり酒の匂いがします。

哲二「あ!大将、また飲みながら料理してたな。今日は酔っ払わないでよ。」

大将「何を言う。俺の料理は、酔いながら作るくらいが美味しくできて、ちょうどいいんだよ!」



<続く>


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